2011.03.16 Wednesday
自殺した氏ムシメさんに捧げる本
彼について書いた一連のブログ記事では、「氏ムシメ」という彼のペンネームは敢えて使っていませんでしたが、彼の四十九日も過ぎたこともあって、本名とはまるで違うお名前なので、今度は敢えて使わせていただきます。
昨年の秋からこの認定心理士本を執筆しており、何とか年末に完成するかどうかと、執筆を急いでいた12月末、ふと彼の携帯に電話をすると、呼び出し音はなるものの、全く応答してくれません。
その後、彼から携帯にメールを貰いました。
12月31日14時59分
「トラウマとストレスで失語症みたいになってしまいました。」
以前から何かおかしいことを感じていたのは確かですが、今までにない、異様な印象を受けたのはこの時です。
その後、DVDの編集のやり方を知りたくて、必要なソフトやパソコンのスペックのことで、ちょこちょこメールをやり取りして、最後に貰ったメールがこれです。
1月1日22時38分
「その通りです。
羨ましくなるようなスペックですが
これならばっちり動くと思います。」
彼とは正月明けに一度会っておくべきだと考えて、1月5日20時8分「日当を払うからDVDの編集ソフトの使い方を教えてくれ」というメールを送ったものの、返事がありません。何か嫌な予感がした私は彼の携帯に電話したものの、「おかけになった電話番号は使われていない」のアナウンス。
そう、私がムシメさんのブログに書き込みしたのはこの直後でした。
玉川警察とムシメさんの自宅に電話をして、ムシメさん本人が亡くなったことについて裏をとり、悲しみに暮れた私は、しばらく執筆活動が手につかなくなり、精神的に不安定な日々が続くようになったのは、当該記事でお話しした通りです。
さて、私が書き上げた本は、認定心理士という資格を取ろうという本です。
この本は、単なる資格取得マニュアルという体裁を取りながら、実は「資格なんか無くても、人と話すだけで自殺を止めることができるなら、それで十分に心理カウンセラーじゃねーか」という、いきなりアンチテーゼから始まっています。
そう、人の心を癒すのに、そもそも資格なんて要らないのです。
資格や学歴を持っているからといって、素晴らしいカウンセラーになれるわけではないのです。
私の人生経験から想像すると、人の傷みがわかり、心のケアのできる人というのは、かなり先天的な能力を有しています。つまり、素質がある人ということです。そういう人にこそ、心理学を勉強して欲しいというメッセージを送ったのです。

さて、これは同書のあとがきで、ムシメさんについて触れた文章です。
校正原稿の段階で母に見せたら、あまりにも悲しい文面だったため、母は涙をこらえられなくなったそうです。
私も読み返すと、一連の出来事が走馬灯のように駆けめぐるので、あまり読みたくないのですが、彼の氏を無駄にしないためにも、この部分は外せませんでした。
発売日まで、指折り数えている間に大震災が起こりました。
人の命とは何なのか、心のケアとは何なのかを改めて考えさせられることになり、いみじくもタイムリーな書籍になってしまったのかもしれません。
大切な友人であった氏ムシメさんに捧げる本として、紹介させていただきます。


JUGEMテーマ:自殺しないで、自殺する前に立ち止まって
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