2011.09.10 Saturday
図書館の本はどれだけコピーしていいのか
先日、図書館で借りた本を、まるごとコピーしたことを記事にしたところ、コメント欄でご指摘を受けました。
深谷昌志『学歴主義の系譜』(拙ブログ記事)
通りすがりさんの記述
要するに、私が本1冊をまるごとコピーすることは違法だから、記事の存在そのものが不適切であるから削除せよという話です。
しかし、この指摘は間違いで、記事をきちんと読んでおらず、よって条文の適用も誤っています。
私は図書館で借りた本をキンコーズ(コピーや印刷専門のコンビニ)でコピーしたと書きました。これは、著作権法31条−1には該当しません。この条文は、図書館が自ら行うコピーサービスについて、「こうあるべき」を示したものです。
だからこの条文は、私が図書館に交渉して、金を払うからまるごと1冊コピーしてくれぃとお願いしても、それはダメということを解説したに過ぎません。逆に、これを認めてしまうと、図書館は1冊の本から無限に複製を作成し、コピー代と称して利益をあげることができるし、そのために著作者や出版社が利益を得られなくなるということを危惧して設置された条文だと思います。
ただ、いくら著作者や出版社の利益を守るためとはいえ、私的利用目的の複製を認めないとなると、私のような在野の研究者は、高額な本や入手困難な本に触れることができません。だから著作権法30条の私的利用目的の規定があるのです。
通りすがりさんは、著作権法の根幹となる、著作者が抱く基本的な感情をご存じなかったようなので、ここで申し上げておきます。
「自分が頑張って作ったものを、他人がまるで自分の作品として発表し、金儲けのために使うのは許せない!」
……これです。
だから私は自らの作品がパクられたことについて裁判を行ったし、同事件についての本も書きました。ご存じでしたか?
念のため申し上げますが、私はコピーした本を自分の研究用にしか使いませんし、売るつもりはありません。
本の中の記述で、ぜひ使いたい部分があれば、引用や転載をして、注釈やクレジットをつけます。
このルールは、作家・研究者としては極めて当たり前の行動であって、私が書いた全ての本で行っています。
私も著者として、図書館にある自分の本が借りられて、まるごとコピーされるということについては嫌です。本が買われれば印税が入るし、出版社も潤うのに、図書館→コピーは何ら利益を生まないのですから。
ただ、著者として不愉快なことと、違法なこととは次元が違いますので、ここは「書店で買えるものはなるべく買うが、致し方ない場合にはコピーで済ます」という、個々人のモラルを信ずるしかないのではないかと思います。
そして最後に一言、注意したいと思います。
通りすがりさん、今度コメントされる時は、もう「匿名」とか「通りすがり」なんて名前を使うのはやめてくださいね。文章というものは、どこの、どういうパーソナリティを持った人が書いたかどうかで説得力が生まれるのです。そういう理由から、基本的に匿名の方には返答しません。
深谷昌志『学歴主義の系譜』(拙ブログ記事)
通りすがりさんの記述
図書館蔵書は著作権法31条の規定の範囲で複写が許可されます。著作権法31条−1「図書館等の利用者の求めに応じ、その調査研究の用に供するために、公表された著作物の一部分(発行後相当期間を経過した定期刊行物に掲載された個個の著作物にあっては、その全部)の複製物を一人につき一部提供する場合」がこれにあたります。 通常、一部とは著作物全体の半分以下であることが求められますので、図書館蔵書の複写は全体の二分の一以下であることが著作権法上の規定です。
まだ権利保護期間内ですし、著作権法上は問題のある行為ではないでしょうか...
当該エントリの削除をお薦めします。
要するに、私が本1冊をまるごとコピーすることは違法だから、記事の存在そのものが不適切であるから削除せよという話です。
しかし、この指摘は間違いで、記事をきちんと読んでおらず、よって条文の適用も誤っています。
私は図書館で借りた本をキンコーズ(コピーや印刷専門のコンビニ)でコピーしたと書きました。これは、著作権法31条−1には該当しません。この条文は、図書館が自ら行うコピーサービスについて、「こうあるべき」を示したものです。
だからこの条文は、私が図書館に交渉して、金を払うからまるごと1冊コピーしてくれぃとお願いしても、それはダメということを解説したに過ぎません。逆に、これを認めてしまうと、図書館は1冊の本から無限に複製を作成し、コピー代と称して利益をあげることができるし、そのために著作者や出版社が利益を得られなくなるということを危惧して設置された条文だと思います。
ただ、いくら著作者や出版社の利益を守るためとはいえ、私的利用目的の複製を認めないとなると、私のような在野の研究者は、高額な本や入手困難な本に触れることができません。だから著作権法30条の私的利用目的の規定があるのです。
通りすがりさんは、著作権法の根幹となる、著作者が抱く基本的な感情をご存じなかったようなので、ここで申し上げておきます。
「自分が頑張って作ったものを、他人がまるで自分の作品として発表し、金儲けのために使うのは許せない!」
……これです。
だから私は自らの作品がパクられたことについて裁判を行ったし、同事件についての本も書きました。ご存じでしたか?
念のため申し上げますが、私はコピーした本を自分の研究用にしか使いませんし、売るつもりはありません。
本の中の記述で、ぜひ使いたい部分があれば、引用や転載をして、注釈やクレジットをつけます。
このルールは、作家・研究者としては極めて当たり前の行動であって、私が書いた全ての本で行っています。
私も著者として、図書館にある自分の本が借りられて、まるごとコピーされるということについては嫌です。本が買われれば印税が入るし、出版社も潤うのに、図書館→コピーは何ら利益を生まないのですから。
ただ、著者として不愉快なことと、違法なこととは次元が違いますので、ここは「書店で買えるものはなるべく買うが、致し方ない場合にはコピーで済ます」という、個々人のモラルを信ずるしかないのではないかと思います。
そして最後に一言、注意したいと思います。
通りすがりさん、今度コメントされる時は、もう「匿名」とか「通りすがり」なんて名前を使うのはやめてくださいね。文章というものは、どこの、どういうパーソナリティを持った人が書いたかどうかで説得力が生まれるのです。そういう理由から、基本的に匿名の方には返答しません。
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