2018.03.30 Friday
「いじめ」をめぐる社会通念とは
葛飾区で起こった「いじめ自殺」。
第三者委員会が調査したところ、「部活動の生徒による男子生徒への行為は社会通念上のいじめにはあたらず、自殺との因果関係は認められない」という結論が出た。
調査の経緯もさることながら、私はこういう報道からの情報しか得ていないので、詳細についてはわからないが、この記事が事実だとすれば、第三者委員会ではなくて、もう警察や裁判所に頼るしかないのではないかと思ってしまいます。
事実として、生徒が自殺したことと、その原因とおぼしき事実に複数の生徒に水をかけられていたり、ズボンを脱がされるという行為があったことがわかっているなら、「因果関係無し」と本当に結論づけられるのだろうか。
もちろん、自殺の本当の動機なんて、複数の要因が重なることも多く、交通事故のように日時のはっきりした事故のように判明できるものではない。
「何をもってセクハラか」という議論にも似ている。1回だけお尻を触っただけなら、酔っぱらった勢いで1回だけエロいことを話しただけなら、被害者が自殺しても「因果関係は認められない」と言えるかもしれないけれど、セクハラの良くないところは、職場の雰囲気がかもしだす、仲間の空気(これくらいのエッチなことで声高に言うなよ、上司にチクりやがって、大げさに騒ぐなバカ)が事実を隠蔽し、顕在化させることが難しくなる。
仲間に水をかけることも、ズボンくらい脱がされることも、大人にとっては大したことではないかもしれない。しかし、中学生にとって学校は生活の100%を占めてしまうところであって、ズボンを脱がされたこと(性的いたずらの対象となってしまった)が学校中に流布される恐怖だってある。
この恐怖を経験したことのない者にとっては、そりゃ確かに「因果関係は認められない」という判断をするしかないだろう。
私は2012年、2ちゃんねるに私を批判するスレッドが立って、書き込んだ人物を7名特定し、そのうち2人を提訴することになった。
裁判官はいずれも和解勧告をしてきたが、私は裁判官に聞いた。
「裁判官は、こんなしつこいストーカーみたいな連中に、自宅を突き止められたり、職場・家族・関係する機関に執拗な嫌がらせをされたことがあるのか」と。裁判官はいわば権力構造の中にいる人だから、そんなことはないし、あったとすれば警察が動くだろう。
だから裁判官は「2ちゃんねるなんて気にしなければいい」と軽々しく言える。
そう、自殺したこの中学生が、悩んでいたら、軽々しく「そんなの気にしなきゃいいじゃん」と大人は言えるだろう。
しかし、学校におけるいじめは、2ちゃんねるで執拗なストーカー行為と同じで、特殊なコミュニティにおいて、衆人環視の中で、一方的なローカルルールに基づいて執拗かつ陰湿に行われる。職場のセクハラも同様である。
このような状況から抜け出す方法、そして中学生が自ら動ける方法が悲しいかな、自殺なのである。
学校のいじめなんて、今に始まったことではない。
しかし、いじめられた経験を持つ人でなければ、因果関係なんてわかるわけもない。
葛飾区の第三者委員会が、どの程度の第三者なのかはわからないけれど、この報道を見る限りでは葛飾区の過失を否定した方が良いと考える空気が蔓延しているのだと思われる。
当該中学校も、葛飾区教育委員会も、指導不足とか、誰かを処罰するとか、それこそ仲間を守る立場にいる人たちである。第三者委員会の委員に選ばれた人たちも、多かれ少なかれ、関係している人たちであろう。
ほう
「いじめ防止対策推進法で定義されているいじめに該当する可能性があるものの、社会通念上のいじめにはあたらない」という回答を見れば一目瞭然である。
「いじめには該当するが、社会通念上のいじめにはあたらない」って、いったい何のことだ?
満員電車内で女性の下着に手を入れたけれど、社会通念上の痴漢には当たらないということ?
コンビニでパンを盗んだけれど、社会通念上の窃盗には当たらないってことか?
「社会通念」という言葉を使ってきちんと説明できない第三者委員会に、何を調査させているのだろうか。
「まぁ、学校側の責任を指摘しつつ、因果関係はなしってことでお茶を濁しておきましょうか」という、ことなかれ主義な結論ありきだったのではないかと想像してしまう。
中学生自殺“水かけズボン脱がそうとするも いじめにあたらず”
3月28日 19時24分
第三者委員会が調査したところ、「部活動の生徒による男子生徒への行為は社会通念上のいじめにはあたらず、自殺との因果関係は認められない」という結論が出た。
調査の経緯もさることながら、私はこういう報道からの情報しか得ていないので、詳細についてはわからないが、この記事が事実だとすれば、第三者委員会ではなくて、もう警察や裁判所に頼るしかないのではないかと思ってしまいます。
事実として、生徒が自殺したことと、その原因とおぼしき事実に複数の生徒に水をかけられていたり、ズボンを脱がされるという行為があったことがわかっているなら、「因果関係無し」と本当に結論づけられるのだろうか。
もちろん、自殺の本当の動機なんて、複数の要因が重なることも多く、交通事故のように日時のはっきりした事故のように判明できるものではない。
「何をもってセクハラか」という議論にも似ている。1回だけお尻を触っただけなら、酔っぱらった勢いで1回だけエロいことを話しただけなら、被害者が自殺しても「因果関係は認められない」と言えるかもしれないけれど、セクハラの良くないところは、職場の雰囲気がかもしだす、仲間の空気(これくらいのエッチなことで声高に言うなよ、上司にチクりやがって、大げさに騒ぐなバカ)が事実を隠蔽し、顕在化させることが難しくなる。
仲間に水をかけることも、ズボンくらい脱がされることも、大人にとっては大したことではないかもしれない。しかし、中学生にとって学校は生活の100%を占めてしまうところであって、ズボンを脱がされたこと(性的いたずらの対象となってしまった)が学校中に流布される恐怖だってある。
この恐怖を経験したことのない者にとっては、そりゃ確かに「因果関係は認められない」という判断をするしかないだろう。
私は2012年、2ちゃんねるに私を批判するスレッドが立って、書き込んだ人物を7名特定し、そのうち2人を提訴することになった。
裁判官はいずれも和解勧告をしてきたが、私は裁判官に聞いた。
「裁判官は、こんなしつこいストーカーみたいな連中に、自宅を突き止められたり、職場・家族・関係する機関に執拗な嫌がらせをされたことがあるのか」と。裁判官はいわば権力構造の中にいる人だから、そんなことはないし、あったとすれば警察が動くだろう。
だから裁判官は「2ちゃんねるなんて気にしなければいい」と軽々しく言える。
そう、自殺したこの中学生が、悩んでいたら、軽々しく「そんなの気にしなきゃいいじゃん」と大人は言えるだろう。
しかし、学校におけるいじめは、2ちゃんねるで執拗なストーカー行為と同じで、特殊なコミュニティにおいて、衆人環視の中で、一方的なローカルルールに基づいて執拗かつ陰湿に行われる。職場のセクハラも同様である。
このような状況から抜け出す方法、そして中学生が自ら動ける方法が悲しいかな、自殺なのである。
学校のいじめなんて、今に始まったことではない。
しかし、いじめられた経験を持つ人でなければ、因果関係なんてわかるわけもない。
葛飾区の第三者委員会が、どの程度の第三者なのかはわからないけれど、この報道を見る限りでは葛飾区の過失を否定した方が良いと考える空気が蔓延しているのだと思われる。
当該中学校も、葛飾区教育委員会も、指導不足とか、誰かを処罰するとか、それこそ仲間を守る立場にいる人たちである。第三者委員会の委員に選ばれた人たちも、多かれ少なかれ、関係している人たちであろう。
ほう
「いじめ防止対策推進法で定義されているいじめに該当する可能性があるものの、社会通念上のいじめにはあたらない」という回答を見れば一目瞭然である。
「いじめには該当するが、社会通念上のいじめにはあたらない」って、いったい何のことだ?
満員電車内で女性の下着に手を入れたけれど、社会通念上の痴漢には当たらないということ?
コンビニでパンを盗んだけれど、社会通念上の窃盗には当たらないってことか?
「社会通念」という言葉を使ってきちんと説明できない第三者委員会に、何を調査させているのだろうか。
「まぁ、学校側の責任を指摘しつつ、因果関係はなしってことでお茶を濁しておきましょうか」という、ことなかれ主義な結論ありきだったのではないかと想像してしまう。
中学生自殺“水かけズボン脱がそうとするも いじめにあたらず”
3月28日 19時24分
4年前、東京・葛飾区の当時中学3年生の男子生徒が自殺した問題で、区が設置した第三者委員会は、同じ部活動の生徒による男子生徒への行為は社会通念上のいじめにはあたらず、自殺との因果関係は認められないとする報告書をまとめました。
平成26年4月、葛飾区立中学校の当時3年生の男子生徒が自殺した問題では、おととしから遺族の要望を受けて区が設置した第三者委員会が改めて事実関係を調査してきました。
第三者委員会が28日に区に提出した報告書では、男子生徒が自殺した当日、部活動のチーム決めが希望どおりいかずうずくまっていたところ、複数の生徒に霧吹きで水をかけられたりズボンを脱がされそうになったりしたとしています。
報告書では、こうした行為はいじめ防止対策推進法で定義されているいじめに該当する可能性があるものの、社会通念上のいじめにはあたらず、「ふだんの遊びの域を超えないもの」と認定し、自殺との因果関係は認められないと結論付けています。
いじめの定義をめぐっては、総務省による調査で、法律上いじめにあたる行為なのに、継続して行われていないなどと定義を限定的に解釈していじめではないと判断していた学校が2割近くに上ったことがわかり、総務省が今月、限定的に解釈しないことを周知するよう文部科学省に勧告したばかりです。
遺族「到底納得できず」
自殺した男子生徒の遺族は「調査結果は思いもよらない内容であり、到底納得することができません。動けなくなった相手に水をかけたりズボンを下ろそうとすることが、いつもの遊びの範囲内のことで『軽率』ではあっても死につながるような重要なことではないと結論づけることは到底受け入れられることではありません」というコメントを出しました。
遺族の弁護士 文科省に指導要求も
遺族の代理人の弁護士は会見で「いじめ防止対策推進法に基づいた第三者委員会による報告書であるにもかかわらず、その法律で定められたいじめの定義を使わずに社会通念上のいじめにあたらないと判断し、明らかに『いじめ』という言葉を避けて結論を出したと考えられる」と述べました。
そのうえで、区長と第三者委員会に対し報告書の再考を求める意見書を提出したことを明らかにし、認められなければ文部科学省に指導を求めることなどを検討するとしています。
葛飾区長「再発防止に努める」
報告を受けて葛飾区の青木克徳区長は記者会見で「部活動の生徒による水をかけるなどの一連の行為は、いじめの兆しがある不適切な行為だったと受け止めている。こうしたことが二度と起きないよう今後再発防止に努めていきたい」と述べました。
JUGEMテーマ:自殺しないで、自殺する前に立ち止まって
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